高校には三種類の教育課程があります。そのうちの一つが通信制高校です。通信制高校は基本的には自宅で学習するかたちの授業であり、個別指導が基本となっています。通信制高校は個人のニーズに応じて学ぶことができ、体が弱い人、高校を中退した人でも学べるのです。
通信制高校の特徴や授業の方法、卒業の条件やメリットやデメリットについて説明していきます。
通信制高校に行きたい人必見!学習スタイルや通信制高校のメリット・注意点を知ろう!
通信制高校とは
通信制高校は自宅での学習が基本となっています。必要な時には通学もしますが、週に何回通学しなくてはいけないという明確な決まりがありません。そこが全日制や定時高校との最大の違いです。全日制と定時制の高校は毎日通学する必要があります。
必ずしも学校に通わなくてもいいので、スポーツや芸術など他に専念したいことがある人や、集団生活が苦手で登校できない人、体が弱くて学校に通うのが難しい人でも、高校を卒業することが可能です。
個別指導が主な通信制高校の学習内容
学校に通わず自宅学習する通信制高校では、どのようにして学ぶのでしょうか。勉強方法は大きく分けて三つの方法があります。一つ目はレポートによる個別指導です。このレポートが学習の大半を占めているといってもいいでしょう。
自宅学習の習熟度を確認するために、年間で50本以上のレポートを提出することになります。レポートと言っても記述式ばかりというわけではなく、選択問題のやりやすいレポートが多いです。内容は通常の高校で学ぶのと変わらず、難易度がすごく高いわけでもないです。
レポートは講師が講評の欄に問題解決のためのアドバイスや、激励のコメントなどを書いて返却してくれます。二つ目はスクーリングです。スクーリングとは登校日のことであり、自宅での個別指導が主な通信制高校でも、まったく学校に行かなくてもいいというわけではありません。
スクーリングは本校の校舎や、全国に点在するサテライトキャンパスで行われます。年間で20日ぐらい登校しなくてはいけない学校が多いですが、学校によっては年に数日しか登校日がない学校もありますので、入学前に確認することが必要です。
スクーリングの内容は学校によって大きく異なります。基本的にはある程度少ない人数で集まって授業を受けます。内容はレポートを補完するような形が多く、自宅学習では理解しきれなかった部分を丁寧に教えてもらうような授業です。
受動的に授業を聞いているだけではなく、生徒と生徒が協力しあって一つの課題を達成するグループワークや、個別指導による今までの学習内容の復習などもあります。勉強だけではなく、体験学習やゼミのような、個人の目的や好きなことに合わせたスクーリングもあります。
国家資格を取得するための勉強ができる学校なら、美容室や飲食店での職業体験を行うようなスクーリングだったり、宿泊形式で行われるレジャー感覚の体育の授業を行うスクーリングだったりと、学校によって様々です。三つ目は定期テストです。
テストと聞いて不安に思う人もいるかもしれませんが、通信制高校には赤点で落第というようなことはありません。テストで合格点をとれなかったとしても、再度同じ科目を勉強し直して再挑戦できます。テストはレポートを日頃からコツコツと真面目に提出していれば合格できるような内容です。
通信制高校を卒業する方法
学校によって異なりますが、多くの学校では1年生から3年生まで、1年ごとに順番に進級していく学年制ではなく、大学のように必要な単位を修得し、一定の単位を修得することで卒業することができる単位制を用いています。
基本的には学科を74単位、特別活動を30単位取得することで、卒業することができるのです。ただし、頑張り次第で極端に早く卒業できるということはありません。卒業には三年間の在籍が必要となっています。単位取得にあたってはレポート提出、テストだけではなく、一定時間スクーリングに参加することが必須となります。
スクーリングは50分の参加で1単位となっています。科目ごとに必要なスクーリングの単位が決められています。
通信制高校のメリット
最大のメリットは、誰かに強制されて勉強するのではなく、自分の意思で好きな時に好きなだけ学習できるということです。時間に縛られないので、他にやりたいことがあっても勉強とたやすく両立することができます。身体面で毎日学校に通うことができない人でも、安心して学べます。
登校日が全日制や定時制の高校と比べてかなり少ないので、スポーツや趣味を極めたい人、アルバイトをしたい人でも、無理なく高校を卒業することが可能となっています。費用も普通の高校に比べると安く、公立の通信制の学校なら3年間で10万円以内で卒業することが可能です。
私立だと学習内容や選択するコースによってかなり費用が変わってくるので、その点は注意が必要でしょう。高校を中退した人、病弱な人、金銭面に余裕がない人など、あらゆる事情を抱えている人でも高校を卒業できるのが、通信制高校のメリットとなっています。
また学校によっては、美容師や調理師の資格取得に役立つ授業を受けることができます。通常の高校の勉強だけじゃなくて、様々なことを学べる可能性があることも、通信制高校のいいところと言えるでしょう。
通信制高校のデメリット
デメリットとして、カリキュラムが決まっていないので、自分で考えて学習していかなくてはいけないことが挙げられます。自由であるというメリットがある一方で、自由であるが故に自分で学習する時間を作り、卒業するための要件を満たさなくてはいけません。
それは意外と難しいことであり、つい楽な方へ楽な方へと流れてしまって何年経っても卒業できない生徒も少なくありません。誰かに強制されていないということは、裏を返せば自分の意志で進まなくてはいけないということです。
強制的に学ばされる環境でないのはある意味デメリットでもあります。また、登校の回数が極端に少ない通信制の高校では人と触れ合う機会がとても少ないです。クラスもはっきりと決まっているわけではないので、特定の友達を作るのにはあまり向いていないといえるでしょう。
みんなで体育祭や文化祭を通して絆を結ぶということは、なかなか難しいです。人間関係が広がりにくいので、集団行動に慣れるという経験はしにくいでしょう。ただ、通信制高校には不登校やいじめを経験している人もたくさんいるので、同じ悩みを抱える人を見つけやすく、悩みを相談しあえる相手を探すことは可能です。